調剤事故を起こさないために、過去の事例を検討しよう

薬剤師にとって、起こしてはならない「調剤事故」。

患者さんに健康被害をもたらしますし、薬剤師個人にも、刑事、民事、行政責任が問われてしまいます。

この記事では、実際の調剤事故をもとに検証してみます。

実際の記事には、薬剤師氏名、管理薬剤師氏名、薬局名が記載されていますが、ここではふせさせていただきます。
この事例は、薬剤師や医療従事者の間では、比較的に認識されていると思います。

厚生労働省も、法改正し、「開設者の責任」を法律に明記しました。また、「監査の徹底の遵守」について、薬剤師会や医療従事者に注意喚起がされています。

実際の調剤事故

埼玉県警は19日、埼玉県薬剤師会会長で今年初めまで日本薬剤師会理事を務めていたA氏およびA氏の経営する当該薬局の女性管理薬剤師1人を、それぞれ業務上過失傷害容疑、業務上過失致死容疑でさいたま地検に書類送検した。

県警および県薬務課によると、送検容疑内容は 2011年3月25日、春日部市在住の無職女性(当時75歳)に対し、薬剤師会会長が胃酸中和剤を調剤しなければならないところを、コリンエステラーゼ阻害薬を調剤し、監査もせずに交付。

女性管理薬剤師は、4月1日、その調剤ミスの報告を受けたものの、患者に対する服用中止の指示や薬剤回収をせず放置、結果として4月7日に死亡させたとの疑い。

県薬務課では、当該薬局での調剤過誤が発覚した後、4月23日付で、県下薬局に対し、再発防止に向けた注意喚起を図ると共に、保健所による立ち入り検査を行う際には」[1]自動錠剤分包機[2]毒薬等の適正管理を県独自の重点項目として盛り込んだ。

同薬局については昨年、保健所による立ち入り検査後、再発防止策の提出を受け、8月6日に再び立ち入り検査により改善状況を確認。2011年7月にも立ち入り検査を行ったとしている。

また、19日付の書類送検に対する同薬務課の対応としては、さいたま地検での患者死亡と調剤過誤との関係についての結論を待った上で、必要な行政処分を行うこととしている。  薬事日報社 2011年8月19日より引用

解説

調剤過誤の事実が判明した直接のきっかけは、当該患者が亡くなる直前、体調不良を訴えて医療機関を受診した際に、投薬された医薬品が間違っていることに気付いたことによります。

当該薬局では4月1日に調剤過誤に気付きながらも、管理薬剤師は患者への服薬中止の指示や、調剤薬の回収をするなどの安全対策を講じず、放置していたことが判明しています。

危機管理として、迅速な対応が全くできていません。

管理薬剤師は、調剤ミスの連絡を受けたにも関わらず、患者さんへの対応を放置しています。
放置した結果、事態は最悪の結果になり、4月7日に患者さんが死亡しています。

管理薬剤師は、「失敗を叱責されるのが嫌で、スタッフに回収の指示や報告をしなかった」ため、開設者に報告しませんでした。
事態発覚を隠したい為、報告しないという対応は、危機管理で最悪の結果を招きます。

当該患者に調剤した薬が、一方化したものであったことを薬剤師や管理薬剤師は確認しています。
「さらに危機が起こりえるのか」も当該薬局で検証されませんでした。

結果として、誤調剤は2月下旬ごろから、ミスが発覚した4月1日まで行われ、亡くなった女性を含む約20人に計約2700錠が調剤されたとみられています。

この期間に交付した毒薬のコリンエステラーゼ阻害薬(ウブレチド)が、回収できませんでした。
他に起こりえる危機に対し、何も対処をしないで、放置をしています。

調剤事故の原因を考えます。

調剤した薬剤師会長は、一方化の調剤監査をしていませんでした。理由は、「患者さんを待たせたくなかったので、自分は確認せず、部下にも、薬の中身を確認させなかった。」と報道されています。

これは、薬を単に患者さんに渡しているだけで、薬剤師の資質に欠けています。

薬剤師がパソコンで自動錠剤包装機に「胃酸中和剤」の番号を登録した時、既に登録されている「コリンエステラーゼ阻害薬」と同じ番号を打ち込み二重登録。

「胃酸中和剤」を選択しても、実際には先に登録されていたコリンエステラーゼ阻害薬」が調剤されていたと県の薬務課の調査が公表されています。

充填時は、リスクが高いため、別の薬剤師によるダブルチェックが必要ですが、行われていませんでした。

また、毒薬のコリンエステラーゼ阻害薬(ウブレチド)は、施錠のかかる保管庫に専用に保管することが医薬品医療機器等法で規定されています。
自動錠剤包装機に、普通の医薬品と同じようにセットするのは、法令違反です。

埼玉県薬剤師会長、日本薬剤師会理事で、指導的な立場であるにも関わらず、調剤のリスク管理を検討していませんでした。

この危機管理は、あまりにひどすぎますが、危機管理をきちんとする必要があることが分かります。
同じ薬剤師として、言葉もでない対応です。亡くなってしまった患者さんには、心よりご冥福をお祈りします。

亡くなった患者さんがいますし、忘れてはいけない事例として取り上げさせていただきました。

危機管理について、一緒に読んでいただければ、より理解できると思います。

危機管理

危機管理について、正しく理解して実践しよう

2019年5月8日
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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師。既婚。病院、薬局、ドラッグストア、公務員として全ての職場を経験しています。病院薬剤師では調剤と病棟業務を、薬局では調剤と在宅業務を、ドラッグストアでは調剤とOTC医薬品の販売を、公務員では医療機関と薬事施設の開設許認可を担当してきました。 趣味はネコ、ガーデニングとブログです。