薬薬連携について、理解しよう

「薬薬連携」って聞いたことがありますか?

薬学生や薬剤師の方であればなんとなく聞いたことがありますよね。
病院での就職を希望する、薬局への就職を希望するというように、就職先によって、自分の仕事を分けて考えがちだと思います。

病院に治療のため、最小限に入院し、患者の自宅から通院するように、医療は変わってきています。今後もますます、その流れは調剤報酬で加速されていきます。
病院、クリニックと薬局が連携することが、患者さんにとっても大切ですし、厚生労働省や、調剤報酬の評価もきちんとされます。

この記事では、そんな「薬薬連携」についてまとめてみます。

薬薬連携

安心で継続的な薬物療法を提供するためや従実した医療に結びつけるために、病院と薬局の薬剤師が連携をすることを「薬薬連携」といいます。

具体的には、以下のようなものがあります。


医療機関から地元の薬局への採用医薬品一覧等の連絡

疑義照会への対応等についての連絡

情報交換

合同研修会等の開催

医療機関から地元の薬局への採用医薬品一覧等の連絡

医療機関から地元の薬局に対し、採用医薬品の一覧や採用薬、中止薬の情報を提供することは、院外処方せん発行に責任をもつ医療機関として、大切です。

疑義照会への対応等についての連絡

医療機関から地元の薬局に対し、疑義照会の対応や、時間外(緊急時)の連絡先(電話番号)等の情報を提供することは、院外処方せん発行に責任をもつ医療機関として重要です。また、薬局での調剤過誤防止に役立ちます。

大学病院や特定機能病院への疑義照会の現状ですが、大部分は、FAXで病院薬剤部へ問い合わせることが一般的です。
薬局に来局されている患者さんがいる状況では、回答まで時間がかかりすぎてしまっています。

本来、薬剤師法に基づき、薬剤師から主治医に疑義照会します。しかし、主治医が診察中や手術中で直接照会するのが困難な場合が多く、病院薬剤部が窓口となっているのが一般的です。

この疑義照会で一部を改善する取り組みがなされています。
医療機関、薬剤師、患者さんにとっても時間がかかる疑義照会を解消する動きが、全国で生じています。

日経新聞DI プレミアム 2018年1月号の「薬薬連携のかたち」という記事では、さいたま市の例がモデル事例をして紹介されています。

さいたま赤十字病院とさいたま市薬剤師会で合意書を締結し、さいたま市薬会員薬局とさいたま赤十字病院で、疑義照会の一部を不要とする「取り決め」がなされました。

取り決め事項は以下になり、この事例では原則として疑義照会が不要になります。


成分名が同一の銘柄変更(変更不可の処方せんを除く) 内用薬の剤形変更

内用薬における別規格製剤がある場合の処方規格の変更 無料で行う半錠、粉砕あるいは混合

無料で行う一方化                  貼付剤や軟膏類の包装、規格変更

その他、合意事項(漢方薬の食後服用など)

さいたま赤十字病院が特定の薬局と合意契約をしなかったのは、門前薬局がなく、病院から離れた薬局に処方せんを持込む可能性が高かったためと紹介されています。

また、合意書や会員薬局リストを関東信越厚生局、保健所、国民保険団体連合会、社会保険診療報酬支払基金支部にも確認、提出を行っています。

このため、薬局がさいたま市薬剤師会に加入するメリットがあり、2017年4月では300だった会員薬局が340程度までに増えたと記事で紹介されています。

情報交換の具体的方法

「お薬手帳」と「薬剤適正使用のための施設間情報連絡書」を用いて行います。
施設間情報連絡書は、薬剤師が他の医療施設の薬剤師へ情報提供し、円滑な連携を図っていくために、統一した書式が望ましくなります。

そのため、日本薬剤師会が作成した「薬剤適正使用のための施設間情報連絡書」を用います。

薬の情報では、「お薬手帳」が基本になります。しかし、紙面が小さいため、服薬状況、副作用やアレルギー、特殊な調剤がなされている場合等の情報を「薬剤適正使用のための施設間情報連絡書」を用います。

病院への入院や退院ごとの事例でまとめてみます。

患者が入院するとき

患者さんの入院が予め分かっている場合

患者さんの同意を得て、「施設間情報連絡書」に記入し、患者さんに交付します。
病院の薬剤師が知りたい「患者の服薬記録」、「アレルギー歴や副作用歴」、「調剤上の工夫」、「一般用医薬品やサプリメント等の服薬状況」、「コンプライアンス」について、かかりつけ薬局として「施設間情報連絡書」に記入します。

患者さんの入院が予め分かっていない場合

病院薬剤師より、患者さんの入院を知らせるとともに、薬歴等の情報提供の依頼がある場合があります。
病院薬剤師より患者さんの同意を得て、「施設間情報連絡書」等により、薬局に連絡があった場合は、上記の内容を病院薬剤師にFAX送信や連絡等を行います。

薬局薬剤師が提供する、患者の使用薬剤についての正確な情報は、病院薬剤師が入院時の持参薬の確認をする際に有効であり、患者さんの安全確保上も有益になります。
発行した薬局の薬剤師は、「薬薬連携情報交換記録用紙」に記録を残します。

 

患者が退院するとき

患者さんが病院から退院するとき

病院薬剤師は、伝えたい事項があるときは、「施設間情報連絡書」を活用します。
薬局薬剤師が知りたい「病名」、「病名の告知の有無」、「服薬指導時の留意点」、「検査値、TDMデータ」について、かかりつけ薬局の薬剤師に情報提供を行います。

入院中や外来治療中の処方せんの内容だけではなく、患者さんが入院中や外来中治療中にどのような状態の薬剤(粉砕、一方化、輸液中の薬剤など)を使用していたか、その内容や調整方法を薬局薬剤師が引き継ぐことで、入院、外来問わず同じ状態の薬剤を提供することが可能となります。

これにより、患者さんに不要な不安を与えることなく、継続した薬物療法を提供することができるようになります。
また、麻薬の疼痛コントロールの状況や医療機関で血中濃度モニタリングによりコントロールされていた薬剤があれば、その状況等を引き継ぐことも有益になります。

全ての医薬品の情報交換で、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携は、患者さんの医療安全に有益です。
特に、有効な連携が図られる薬剤として、次のようなものが代表的です。

抗がん剤  抗生剤  精神薬  吸入薬  ハイリスク薬

抗癌剤

抗癌剤が初めての処方されたときは、患者からかかりつけ薬局を聞いて、その薬局へ事前に情報提供(処方内容、投与スケジュールなど)をしている病院があります。
癌未告知の患者さんの場合には、患者さんごとに説明した項目についても同時に伝えています。

告知した患者さんである場合は、病院で患者さんに説明した副作用の内容を伝えるとともに、副作用等のモニタリングの依頼を行っている病院もあります。

お薬手帳へのシール貼付や名刺大のカードを通じ、その情報を補完する取り組みが、各地で実践されています。

抗生剤

とくに薬剤アレルギー歴の有無の確認が大切です。
患者さんが入院し、初回面談で薬を確認する際に、患者さんが意思表示できない状態である場合や、薬の服用歴を全く把握できていない場合があります。

持参したお薬手帳を確認して、「例えばマクロライド系抗生剤で薬疹の経験があると記載されている」際は、マクロライド系抗生剤の投与を速やかに避けることが出来ます。

精神薬

精神科の専門病院では、患者さんへの一方的な服薬指導により、患者さんが病名を知って病状が悪化したり、副作用を恐れて服薬を拒否するケースがあります。

このため、病院薬剤師からの「病名の告知の有無」、「服薬状況」、「調剤上の留意事項(一方化)」を薬局薬剤師に伝えて、継続的な薬の服薬指導は、有益になります。

吸入薬

喘息治療では、吸入薬が大切になります。
喘息死を防ぐために、吸入剤の意義と適切な操作方法を、患者さんに正しく理解してもらう必要があります。

病院薬剤師が主体となり、薬局薬剤師と合同勉強会を開き、吸入指導や服薬指導の標準化を図ったり、吸入指導依頼せんを各薬局に送る仕組みを作ったりする動きが、全国に広がっています。

ハイリスク薬

パナルジンやワーファリン等のハイリスク薬の服薬情報の共有は、医療上とても有益となります。
例えば、眼科の手術を控えている患者さんに他の医療機関から処方されているワーファリン等があり、患者さんが手術5日前でも服用を続けてしまっている場合があります。

薬局の薬剤師を通じて、入院する病院薬剤師に情報交換をすることで、手術時の出血予防につながります。

薬薬連携情報交換記録用紙

薬薬連携を提供するために、薬薬連携の運用状況を把握することが必要です。
そのためには、情報連絡書を発行・受領した際に「薬薬連携情報交換記録用紙」に記入します。

とくに定まった様式はありませんが、記載する事項として、以下のものが必要です。

 
発行時  患者情報、発行情報、受領情報の受領施設名、受領日付

受領時  患者情報、発行情報、受領情報、備考に有用な事項

毎月のレセプト提出時に前月分の「薬薬連携情報交換記録用紙」と「施設間情報連絡書」のコピーを合わせて提出します。

個人情報保護法

「施設間情報連絡書」の発行は、患者さんの同意を得てからしか交付できません。

厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の取扱いのためのガイドライン」(平成16年12月24日公表)及び同ガイドラインに関するQ&A(平成17年11月29日改定)によれば、利用目的を掲示して、患者から辞めて欲しい旨を明らかな意思表示がなければ、患者の黙示による同意があったものとして取り扱うことが可能と示されています。

合同研修会等の開催

地区薬剤師会が中心となり、合同研修会の開催、共同研究の実施、一般市民への啓発活動などのさまざまな機会で、薬剤師同士の交流を深めることが薬薬連携を円滑に推進するうえで効果的になります。

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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師。既婚。病院、薬局、ドラッグストア、公務員として全ての職場を経験しています。病院薬剤師では調剤と病棟業務を、薬局では調剤と在宅業務を、ドラッグストアでは調剤とOTC医薬品の販売を、公務員では医療機関と薬事施設の開設許認可を担当してきました。 趣味はネコ、ガーデニングとブログです。