麻薬の適正な管理を理解して、実践しよう 前編

疼痛コントロールに欠かせない「麻薬」。医療の現場では、その重要性が増してきています。

麻薬は麻薬及び向精神薬取締法で強く規制されています。
病院に就職したばかりの薬剤師の方のために、完全に分かるように基本的なことからまとめてみます。内容が多くなりますので、前編と後編に分けます。

病院での麻薬の管理

麻薬

麻薬とは、麻薬及び向精神薬取締法第2条別表1において指定されたものと定められています。
医薬品の外側の容器または直接の被包に、その医薬品名及び「 麻 」の文字の記載が法で義務付けられており、証紙により封かんされています。

麻薬管理者免許申請

麻薬管理者とは、都道府県知事の免許を受けて、麻薬診療施設で施用され、又は施用のため交付される麻薬を業務上管理する者です。
二以上の麻薬施用者(医師、歯科医師、獣医師で麻薬処方せんを交付する場合は、都道府県の免許が必要)が診療に従事する麻薬診療施設の開設者は、免許を受けた麻薬管理者を1人置かなければなりません

麻薬管理者は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師に限定されています

申請に必要なもの


麻薬管理者免許申請書

資格を証明する免許証(医師・歯科医師・獣医師・薬剤師)の写し

診断書(書式が定まっています)

病院の開設届の写し
※新規に麻薬診療施設になる場合や、法人化・移転等で新規に申請する場合に必要です。

麻薬小売業者免許の有効期間について

免許の有効期間は、免許を受けた日から翌々年の12月31日までです。継続して、麻薬を調剤する場合は、新しく免許を受ける必要があります

 麻薬の保管

保管場所は麻薬及び向精神薬取締等法で、「かぎをつけた堅固な設備」と定められています。保管庫の設備として、以下のものが求められます。


麻薬保管庫を調剤台等に固定

施錠のかかり、頑丈なもの(金属製)
 所管の自治体とよく、相談しましょう。
多くの薬局で、二重式のダイヤル錠がついた麻薬保管庫を使用しています。

麻薬の譲渡・譲受(病院)

麻薬診療施設の麻薬の譲渡(交付)・譲受(受け取り)は、下記のものが実務上あります。


麻薬卸売業者からの麻薬の購入

麻薬処方箋で、患者さんに交付

患者さんや患者さんの家族から返却されて調剤済の麻薬の受け取る

患者さんが亡くなって、死亡した患者さんの相続人又は相続財産を管理するものから調剤済麻薬を受け取る

麻薬免許が失効した麻薬診療施設等から、業務廃止に伴う等により、50日以内に譲り受けとるとき

その他、麻薬及び向精神薬取締法の第24条の規定より、事前に厚生労働大臣の許可を受けて譲受するとき

麻薬施用者(医師)が麻薬を施用し、交付するため場合を除いて、病院、診療所の開設者は麻薬を譲り渡すことはできません。
また、麻薬の購入は、原則として、同一都道府県内の麻薬卸売業者からしか購入できません。
例えば、東京都にある病院が、神奈川県の麻薬卸売業者からは購入できません。

麻薬の購入について

麻薬を購入する際は、次の点に注意します。


麻薬卸売業者から「麻薬譲渡証」の交付を受けます。

麻薬取扱施設は、麻薬卸売業者へ「麻薬譲受証」を交付します。

麻薬を譲り受ける時は、麻薬譲渡証の品名、数量、製品番号と麻薬が相違ないか確認します。

麻薬の容器に政府発行の証紙で「封かんされているか」を確認します。

麻薬譲受証は、譲受者の責任において作成し、押印が必要です。
この押印は、法人の場合は法人印(登記印)です。ただし、実務ですぐに使用できない場合、麻薬専用の印(他の用務と併用不可 覚せい剤原料医薬品の印は除きます。)でも構いません。

この麻薬譲受証に使用する印は、事前に麻薬卸売業者に登録してください。
また、麻薬譲渡証は2年間保存が必要です。

 麻薬譲受証に記載する事項


譲受人の氏名(病院名称、「理事長」の職名及び氏名)

麻薬管理者(薬剤師)の免許番号、氏名

譲り受けようとする麻薬の品名、数量

押印病院にあっては、代表印又は麻薬専用・覚せい剤原料専用印)

麻薬処方箋での麻薬の交付について

麻薬処方せんは、普通の処方せんに以下の項目が必要になります。


患者の住所

麻薬施用者の免許番号

医師であっても、麻薬処方せんを交付する場合は、「麻薬施用者」という麻薬免許が必要です。
麻薬施用者免許は都道府県の免許になり、有効期間は免許を受けた日から翌々年の12月31日までです。

処方せんに麻薬施用者免許が記載されていない場合、麻薬施用者免許の有効期間が切れている場合や麻薬施用者免許を取得していない可能性がありますので、疑義照会を充分に行ってください。

この状態で、麻薬を調剤して患者さんに交付してしまいますと、法令違反になってしまいます。院内処方箋の場合、年間保存が必要です。

麻薬注射剤や麻薬坐剤の場合には、麻薬管理者が施用量や残余量を確認して麻薬帳簿に記載する必要があるため、院内麻薬処方せんを使っての麻薬管理者への請求には、施用量を確認することのできる複写式の施用票が一般的です。

後編はこちらです。

麻薬

麻薬の適正な管理を理解して、実践しよう 後編

2019年5月25日
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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師。既婚。病院、薬局、ドラッグストア、公務員として全ての職場を経験しています。病院薬剤師では調剤と病棟業務を、薬局では調剤と在宅業務を、ドラッグストアでは調剤とOTC医薬品の販売を、公務員では医療機関と薬事施設の開設許認可を担当してきました。 趣味はネコ、ガーデニングとブログです。