毒薬、覚せい剤原料、特定生物由来製品を適正に管理しよう

病院では、さまざまな医薬品を取り扱っています。
医薬品ごとに、取扱い方法には注意が必要になりますが、その中でも各法律で、厳しく規制がかかっている薬は特に注意が必要です。
ここでは、規制されている毒薬、劇薬、覚せい剤原料、特定生物由来製品の取扱いについて、ひととおり把握できるようにまとめてみます。

規制医薬品の管理について(毒薬、劇薬、覚せい剤原料、特定生物由来製品)

毒薬

毒薬とは、厚生労働省が、毒性が強いものとして、厚生労働大臣が指定する医薬品です。
医薬品の外側の容器または直接の被包に、黒地に白枠、白地をもって、その医薬品名及び「毒」の文字の記載が法律で義務付けられています。

毒薬の管理、保管、交付

毒薬の保管は、他のものと区別して、保管しなければなりません。保管場所には、施錠が必要です。
毒薬の帳簿を作成し、帳簿と医薬品の在庫現品の間で齟齬がないように適正に在庫管理をして、定期的に点検することを求められています。
厚生労働省の「毒薬等の適正な保管管理等の徹底について 平成13年4月23日」より

また、14歳未満の患者さんやその他安全な取扱いをすることについて不安があると認められる患者さんに対しては、交付することが禁止されています。

内服薬の毒薬

一般名 商品名 薬効
メルファラン アルケラン錠2mg

アルケラン静注50mg

抗多発性骨髄腫薬
塩酸アミオダロン アンカロン錠100mg

アンカロン注150㎎ 3ml

不整脈治療薬
ジスチグミン臭化物 ウブレチド錠5mg

ウブレチド点眼液0.5% 1% 5ml

重症筋無力症、排尿障害治療薬
緑内障
バルガンシクロビル
塩酸塩
バリキサ錠450mg 抗サイトメガロウイルス
化学療法薬
テモゾロミド テモダールカプセル20mg、100mg

テモダール点滴静注用

抗悪性腫瘍
ヒドロキシクロロキン
硫酸塩
プラケニル錠200mg 免疫抑制薬

※アルケランの保管:遮光し2~8℃で冷所保存、気密容器。保管する場合は、鍵のかかる冷暗庫に保管します。

劇薬

劇薬とは、厚生労働省が、劇性が強いものとして、厚生労働大臣が指定する医薬品です
医薬品の外側の容器または直接の被包に、白地に赤枠、赤地をもって、その医薬品名及び「劇」の文字の記載が法律で義務付けられています。

劇薬の管理、保管、交付

劇薬の保管は、他のものと区別して、保管しなければなりません。
薬効ごとに劇薬のものを区別し、保管することが一般的です。

劇薬の受払いを明確化し在庫管理を適切にして、劇薬の盗難・紛失及び不正使用の防止することが毒薬と同様に求められています。
実務上では、数多くの医薬品があるため、医薬品の購入、患者さんへの交付を把握し、パソコンで管理していることが一般的です。
14歳未満の患者さんやその他安全な取扱いをすることについて不安があると認められる患者さんに対しては、交付することが禁止されています。

覚せい剤原料

覚せい剤原料とは、覚せい剤取締法、政令で定められた医薬品です。
病院、薬局で取扱える覚せい剤原料は、次の条件を満たす必要があります


調剤のために使用する医薬品である

医薬品である覚せい剤原料である

覚せい剤原料取扱者の指定申請

覚せい剤原料を譲り渡すことを業とする者、又は業務のために覚せい剤原料を使用する者、学術研究のために、覚せい剤原料を製造又は使用する者は指定を受けなければなりません。

「覚せい剤原料取扱者」とは、覚せい剤原料を譲り渡すことを業とすることができ、又は業務のために覚せい剤原料を使用することができる者として、覚せい剤取締法の規定により都道府県知事の指定を受けた者をいいます。

ただし、病院については、診療、治療に使用する医薬品である覚せい剤原料を所持する場合、指定申請は不要になります。

覚せい剤原料の譲渡、譲受

病院は、「覚せい剤原料取扱者」の指定を受けた事業者以外から覚せい剤原料を購入することはできません。
つまり、他の病院から譲り受けや、他の病院へ譲り渡すことは法で禁止されています。
また、「覚せい剤原料取扱者」への返品や交換もできません。
覚せい剤原料を譲受(購入)する際は、次の点に注意します


覚せい剤原料取扱者から「覚せい剤原料譲渡証」の交付を受けます。

病院は、覚せい剤原料取扱者へ覚せい剤原料譲受証」を交付します。

覚せい剤原料を譲り受けるときは、譲渡証の品名、数量と相違ないか確認します。

覚せい剤原料譲受証は、譲受者の責任において作成し、押印が必要です。
この押印は、法人の場合は法人印(登記印)です。ただし、病院の調剤室で法人印が利用できにくい場合、覚せい剤原料専用の印(他の用務と併用不可 麻薬の印は除きます)でも構いません。

また、覚せい剤原料譲渡証は2年間保存が必要です。

麻薬の購入の流れ

覚せい剤原料の交付

病院が覚せい剤原料を譲渡できるのは、処方せんにより調剤した医薬品である覚せい剤原料をその処方せんを所持する患者さんに譲り渡す(交付する)ときのみです。

覚せい剤原料の主なもの

一般名 商品名 薬効
セレギリン塩酸塩錠 エフピーOD錠2.5mg パーキンソン病治療薬
セレギリン塩酸塩錠 セレギリン塩酸塩錠2.5mg
「アメル」
パーキンソン病治療薬
セレギリン塩酸塩錠 セレギリン塩酸塩錠2.5mg
「タイヨー」
パーキンソン病治療薬

覚せい剤原料の廃棄

覚せい剤原料を廃棄しようとする病院は、「覚せい剤原料廃棄届出書」の届出を行政に事前に届出し、行政の覚せい剤監視員の立会いで行わなければなりません。

「覚せい剤原料廃棄届出書」には、品名及び数量並びに廃棄の方法を記入します。

また、患者さんやその家族が、不要となった医薬品である覚せい剤原料を持参した場合は、譲り受けることはできませんので、持参者が自ら廃棄するように説明します。その際に、患者さんやその家族等が行う廃棄を補助することはできます。

事故

所有する覚せい剤原料を喪失し、盗み取られ、又は所在が不明となったときは、「覚せい剤原料事故届出書」により、速やかにその覚せい剤原料の品名、数量並びに事故の発生状況を明らかにする情報を行政に届出することが、法律で義務付けられています。

生物由来製品

生物由来製品とは、人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原料又は材料とし、製造をされる医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が指定したものです。

(例)生物由来製品は、ワクチン、トキソイド、遺伝子組換え製品、動物成分抽出医薬品

直接の容器包装に白地、黒枠、枠囲い黒字をもって「生物」と表示されています。

特定生物由来製品

特定生物由来製品とは、生物由来製品のうち、販売し、賃貸し、又は授与した後において当該生物由来製品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが必要なものであって、厚生労働大臣が指定したものです。

(例)血液凝固因子製剤、輸血用血液製剤、人プラセンタ

直接の容器包装に白地、黒枠、枠囲い黒字をもって「特生物」と表示されています
さらに、血液製剤と、血液製剤と代替性のある遺伝子組換え製剤のうち特定生物由来製品に指定されているもの(人血液成分を使用しているもの)には、以下が表示されています。


原料となる血液の採血国

採血方法として、「献血」又は「非献血」の区別

特定生物由来製品の患者さんへの説明

特定生物由来製品」に関しては、他の製品よりもより厳しい安全対策が課されることとなり、
まず、製品を使用する際にリスクとベネフィットについて患者さんやその家族に適切に説明し、同意書などにより確認をとります。


疾患の治療や予防のため、特定生物由来製品の施用が必要である

安全対策は講じられているが、未知の病原体による潜在的な感染症の危険性を完全には排除できない

感染因子の不活化処理等に限界がある場合がある

特定生物由来製品の記録、保管

特定生物由来製品を使用した場合の情報を管理簿に記録し、使用日から少なくとも20年間保管します。
記録する情報は以下のものです。

製品名  製造番号(製造記録) ●患者さんの氏名と住所  投与日 

記録は、電子媒体での保存が一般的です。
製薬メーカーからカルテなどに貼りつけられるシールが、特定生物由来製品に準備されているため、カルテにはこのシールを活用します。

生物由来製品、特定生物由来製品の報告

製品由来による感染症が発生した場合、感染症等情報を厚生労働省に報告が法で義務付けられています。

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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師。既婚。病院、薬局、ドラッグストア、公務員として全ての職場を経験しています。病院薬剤師では調剤と病棟業務を、薬局では調剤と在宅業務を、ドラッグストアでは調剤とOTC医薬品の販売を、公務員では医療機関と薬事施設の開設許認可を担当してきました。 趣味はネコ、ガーデニングとブログです。